テント泊で夏の薬師岳「折立から北アルプスの貴婦人を散策してきた♪」

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薬師岳とは?

 薬師岳(やくしだけ)は、富山県富山市南東部に位置する標高2,926 mの山。日本百名山、富山の百山の一つ。山名の由来は、山頂に祀られた薬師如来によるとされ、どっしりとした気品のある山容から「北アルプスの貴婦人」とも呼ばれているそうです。

駐車場・アクセス

駐車場:折立キャンプ場の駐車場、または臨時駐車場を利用(無料:合計400台程度)。7~9月の土日祝日は非常に混雑すると思われます。

アクセス:車の場合には、有峰林道(有料:普通車 2,000円)を利用して折立キャンプ場に行きます。有峰林道の開通期間は6月上旬~11月中旬で、夜間(20:00〜6:00)は通行不可なのでご注意下さい。また、災害等で通行できないことがありますので、事前にありみネットで通行可能か確認しましょう。

 公共交通機関をご利用の場合には、富山地方鉄道バスの夏山バス有峰線(期間限定:基本的には予約制)を利用することになります。詳しくは、富山地方鉄道バスのサイトをご覧下さい。

ありみネット(有峰林道):http://arimine.net/toll_road2.html
富山地方鉄道バス:https://www.chitetsu.co.jp/?page_id=741

今回のコース

折立 標高1,353m(トイレ・キャンプ場・自動販売機)
↓120分 ↑70分
三角点ベンチ 標高1,869.9m
↓90分 ↑60分
五光岩ベンチ 標高2,184m
↓90分 ↑60分
太郎平小屋 標高2,331m(山小屋)
↓20分 ↑20分
太郎平キャンプ場 標高2,294m(トイレ・キャンプ場・水場)
↓110分 ↑80分
薬師岳山荘 標高2,701m(山小屋)
↓60分 ↑40分
薬師岳 標高2,926m

標準コースタイム 13時間40分 距離:20km
(ロガー測定値:テント泊のため時間不明・21.5km)

撮影:2023年7月下旬

7月の薬師岳を散策♪ 1日目

 2023年7月下旬の夕方、薬師岳登山口の一つである折立キャンプ場に向かうため、富山県側の亀谷連絡所から有峰林道に入る。通行料2,000円(普通車)も取られるだけあって、大型車でも問題無く通れる道が折立キャンプ場まで続いていた。


「折立キャンプ場の駐車場」

 この有峰林道は、夜間(20時~6時)の通行が禁止されているため、前泊しないと早朝から登れないと言う欠点がある。当日は暑くなると言う予報であったため、暗い内から登れるように、前日に現地に入って車中泊をすることにしたのだ。


「折立キャンプ場」

 なお、ここのキャンプ場は無料のため、片付けるのが面倒でなければテントに泊まっても良いと思う。ただし、熊が頻繁に出るらしく、電気柵が全体に張ってあった。テント、車中泊ともに十分注意した方が良いと思われる。

*折立キャンプ場は、熊が出没すると閉鎖される可能性があります(熊出没につき、2023年8月12日から閉鎖中らしい)。なお、キャンプ場の水は、生水なのでそのまま飲めないとか書いてありました。自販機はありますが、飲料水は事前に用意しておいた方が良いと思います。

「薬師岳登山口」

 なお、トイレはキャンプ場の横と登山口の無料休憩所前にあり、自販機は登山口の方のトイレ前にある。微妙に高いけど、忘れた場合には補給しておこう。

トイレは水洗で綺麗な方ですが、夜間は虫天国でした……。

「思ったよりも急登でした」

 当日は蒸し暑く、あまり眠れなかったが、準備をして午前4時半過ぎに登り始める。今回は久しぶりのテント泊のため、ザックの重さが体に堪えた。


「濡れてると滑りそう」

 折立からのルートに厳しい登りがあるイメージは無かったんだけど、序盤の樹林帯は急な登りが連続するハードな登山道だ。テント泊装備の重さもあるのかもしれないが、20℃程度の気温のわりには暑くて、汗が滝のように流れ落ちた。


「三角点ベンチ」

 そんな道を2時間ほど登ると、三角点ベンチと呼ばれる場所に着く。ここで、肩に食い込んだ重いザックを下ろして大休憩。ここから先は太陽光を遮るものが少ないため、日焼け止めを念入りに塗っておく。


「開けた道が続きます」

 三角点ベンチから先は、基本的には開けた緩い登り坂が延々と続く。今回は風が弱く、灼熱の太陽光を浴び続けたため、かなり辛かった。登るタイミングや装備の重さによって、印象が変わると思う。


「有峰湖を見下ろして」

 ひたすら歩き、どこまでも続きそうな階段を登って行くと、三角点ベンチから1時間半ほどで五光岩ベンチと言う場所に着く。この日は非常に暑くて、まるで砂漠を歩いているような感じだったため、ここでも座って休憩を取った。


「五光岩ベンチ」

 五光岩ベンチを過ぎると、高原って感じの爽やかな場所が多くなってくる。この辺りから、雲が多くなると同時に風が出てきたため、灼熱感は和らいで楽になった。


「太郎平小屋」

 のんびりと歩き続け、登山口から5時間ほどで太郎平小屋に到着した。ひとまず、売店で600円のコーラを買って、がぶ飲みしながら大休憩。ここまで、体力的に辛いと言うよりも、太陽との戦いだった気がする。


「薬師峠に下ります」

 道中、日傘を差しながら歩いている人が居たけど、これからは真夏の必需品になるかもしれない。強風時や危険な場所、狭い登山道では使えないけど、テント場で待機する時も灼熱なので、荷物になるけど購入を検討しようと思った。


「薬師峠」

 休憩の後は、木道をテクテクと歩いて薬師峠にある太郎平キャンプ場へ。今回は、ここにテントを残して薬師岳に登り、翌日に薬師沢まで下って遊ぶ予定だった。

 しかし、テント場に着いた時点でガスが湧いてしまい、薬師岳に登っても視界が無いと思われたため、この日の行程はここで終了とした。


「太郎平キャンプ場」

 到着した時間が少し早く、受付の人が居なかったため、先にテントを張ってしまうことにした。太郎平キャンプ場は石混じりの土の地面だが、思ったよりはペグが刺さる。ただ、周囲に大きな石が多いため、張り綱は石で固定した方が楽だと思う。

 水場とトイレは、キャンプ場から少し下った場所にある。トイレはまあまあ綺麗で、気温が低いからか、日中でもニオイは気にならなかった。水は豊富で、黒いホースから冷たくて美味しい水が勢いよく流れ出ている。

*テント泊の受付は太郎平キャンプ場で出来ますが、時間外は太郎平小屋で行います(1泊1,000円:シーズン中の13~16時は管理人が居ると思います)。

「展望はあまり良くない」

 この日は雲が多く、風も吹いていたのでテントの中に入って寝ていられたけど、少しでも太陽が出ると灼熱地獄だ。日が落ちるまで何とか時間を潰し、カレーメシ等で簡単な夕食を取った後は、早々に寝てしまった。ここのテント場は横を流れている沢の音が大きいけど、思ったよりは気にならなかったようだ。

7月の薬師岳を散策♪ 2日目

 2日目、周囲の物音で目が覚めると、すでに午前3時を回っていた。急いで簡単な食事を取り、準備をして4時10分に登り始める。


「急登です」

 キャンプ場から薬師平までは、石がゴロゴロした急な登りを行く。特に危なくは無いけど、沢を通る場所があるため、大増水した場合には注意が必要かもしれない。


「周辺は花が多い」

 急登をゆっくりと登って行くと、やがて沢は消滅して石や岩の登山道になる。この周辺は、ハクサンイチゲやチングルマ等の高山植物が多かった。


「薬師平」

 太郎平キャンプ場から35分程で薬師平に到着。ここは名前通りに開けていて、黒部源流域の山々や槍ヶ岳がよく見えた。


「後光のように見える」

 薬師平から先は、やや石が多いものの、ルート上に危険な箇所は無い。ひたすらテクテクと登って行くと、薬師岳に朝日が当たって後光のように見えていた。


「薬師平方面を振り返って」

 さらに登って振り返ると、黒部源流域の山々に朝日が当って美しく見えた。何度も立ち止まって写真を撮り、来年はあの辺りを一週したいな~と思いながら、登山道を登り詰めて稜線に出る。少し風が強かったけど、登りで火照った体には涼しくて最高だった。


「薬師岳方面を見て」

 それほど時間は掛からず、標高2,700m付近にある薬師岳山荘に到着。帰りに山バッチでも買っていこうと思いつつ、スルーして山頂を目指した。


「薬師岳山荘」

 小屋から山頂までは、標高差200mの登りだ。若干、登山道が不明瞭な感じの場所はあったものの、特に危険な場所は無かったと思う。


「特に危険な場所は無い」

 砂と石の登山道をひたすら登り、避難小屋? の前を通過すると、薬師岳の山頂にある薬師堂が見えてくる。この薬師堂は、2023年に再建された新しいものだ。


「新しい薬師堂」

 山頂には午前6時20分に到着。涼しかったので予定よりも少し早かった。まずは、鐘をカーンっと鳴らしてから登山の無事を祈る。普通、山頂にあるのは神社なので、ニ礼ニ拍手しそうになった気がする(無意識にやったかも?)。


「剱・立山方面」

 遮るものが何も無いので、山頂からの眺めは最高! 剱・立山方面も良いし、雲ノ平や黒部源流域の山々の眺めも素晴らしかった。


「雲ノ平方面」

 しばらく眺めを楽しんだ後は、薬師岳山荘でバッチを買ったり、雷鳥を撮影しながら元来たルートをのんびりと戻った。


「雷鳥」

 なお、キャンプ場から山頂往復に掛かった時間は4時間10分、キャンプ場から折立までは3時間だった。全行程21.5kmの楽しいテント泊山行だった。

動画「7分で夏の薬師岳」

・暇な人はどうぞ……

関連サイト

ありみネット(有峰林道):http://arimine.net/toll_road2.html
富山地方鉄道バス:https://www.chitetsu.co.jp/?page_id=741
太郎平小屋:https://ltaro.com/lodge/tarodaira-goya/
薬師岳山荘:http://www.yakushidake-sansou.com/

まとめ

 久しぶりのテント泊だったので、かなり体に堪えましたね。総重量17kg位でしたが、途中で挫けそうになりました。距離が長く、林道の時間制限があるため、完全な日帰りは健脚者じゃないと厳しいと思います。

 常識的な範囲での難所は無く、体力があれば誰でも歩ける良いルートだと思いました。山頂からの眺めも最高ですね。

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