テント泊で夏の甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳「北沢峠から南アルプスの貴公子と女王を散策♪」

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甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳とは?

 甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)は、山梨県北杜市と長野県伊那市に跨がる、標高2,967mの山。日本百名山、信州百名山、山梨百名山の一つ。白く精悍な姿から、南アルプスの貴公子とも呼ばれているそうです。

 仙丈ヶ岳(せんじょうがたけ)は、長野県伊那市と山梨県南アルプス市にまたがる、標高3,033mの山。日本百名山、花の百名山、信州百名山、山梨百名山の一つ。たおやかな山容から、南アルプスの女王とも呼ばれているそうです。

駐車場・アクセス

駐車場:一般車は林道を通行できないため、仙流荘駐車場「林道バス利用者駐車場(400台)有料:5日以内1,000円」に駐車して、南アルプス林道バスを利用します。なお、2023年の林道バスの営業は11月15日までです。

アクセス:仙流荘前のバス営業所から、南アルプス林道バスに乗って北沢峠に向かいます。車の場合には、中央自動車道伊那インターチェンジ、又は小黒川スマートインター下車、仙流荘前の林道バス利用者駐車場まで約40分。

 公共交通機関をご利用の場合には、JR伊那市駅で下車して、伊那バスターミナルから、JRバス関東高遠線でJRバス高遠駅にて下車、高遠駅から仙流荘までタクシーを利用。又は、JR茅野駅から、JRバス「南アルプスジオライナー」(期間限定・土日祝日のみ)を利用。詳しくは、伊那市や仙流荘のサイトをご覧下さい。

仙流荘:https://www.ina-city-kankou.co.jp/senryuso/
南アルプス林道バス(伊那市):http://www.inacity.jp/kankojoho/sangaku_alps/minamialps/minamialps_jikokuhyo.html
南アルプスジオライナー(伊那市):http://www.inacity.jp/kankojoho/sangaku_alps/minamialps/jrbusdeiku/jrbus.html

今回のコース

・甲斐駒ヶ岳「体調不良のため、異常に時間が掛かっています」
長衛小屋 標高1,989m(トイレ・キャンプ場)
↓ 30分 ↑ 25分
仙水小屋 標高2,136m(山小屋)
↓ 40分 ↑ 30分
仙水峠 標高2,264m
↓ 90分 ↑ 60分
駒津峰 標高2,740m
↓ 90分 ↑ 60分
甲斐駒ヶ岳 標高2,967m

標準コースタイム: 7時間5分 距離:9km
ロガー測定値:10時間20分・9.3km

・仙丈ヶ岳電波ロスト? のため、ログが飛んでいます
長衛小屋 標高1,989m(トイレ・キャンプ場)
↓130分
藪沢・小仙丈ヶ岳分岐 標高2,519m
↓ 60分 
小仙丈ヶ岳 標高2,864m
↓ 80分
仙丈ヶ岳 標高3,033m
↓ 70分
馬の背ヒュッテ 標高2,578m(山小屋)
↓ 35分
藪沢・小仙丈ヶ岳分岐 標高2,519m
↓ 85分
長衛小屋 標高1,989m(トイレ・キャンプ場)

標準コースタイム 7時間40分 距離:8.8km
(ロガー測定値:7時間57分・9.5km)

*馬の背ヒュッテを経由するコースは、10月中旬頃から雪解けまで冬季閉鎖されようです

撮影:2023年8月下旬

夏の甲斐駒ヶ岳に登ってみた♪ 1日目

 2023年8月下旬、甲斐駒ヶ岳と仙丈ヶ岳に登るため、南アルプス林道バスの営業所がある仙流荘を目指して車を走らせた。どこもそうなんだけど、夜間の山道は鹿が凄く多い。

 注意しながら車を走らせていたら、仙流荘まで僅かの地点で、雄の鹿がガードレールを跳び越えて車道に飛び出してきた。急ブレーキで回避出来たものの、あと数十㎝でアウトだったと思う。ヒットすれば、登山どころではなくなる。本当に勘弁して欲しいものだ。


「仙流荘駐車場」

 仙流荘駐車場には、午前4時頃に到着。まだ数人しかチケット販売所に並んでいなかったので、朝ごはんを食べ、ゆっくりと散策の準備をしてから車を後にした。ここは、荷物を置いてバスの順番を確保するローカルルールがあるようだ。私もザックを置き、登山届を提出してから列に並ぶ。

*登山届は「南アルプス北部地区」登山計画書が置いてありました。伊那市のサイトからもダウンロードできます。
登山届(伊那市):https://www.inacity.jp/kankojoho/sangaku_alps/minamialps/minamialps_tozan/tozanshanominasamahe/mountainlovers.html

「8月下旬の平日でもコレですよ」

 チケットの販売開始は、バスの運行30分前となっている。7月20日~8月31日までは、平日の始発は6時5分のため、この日は5時半頃からチケットの販売が開始された。

*9月1日からは、平日の始発が8時5分になります。夏山期間以外の平日は、バス利用での完全な日帰り登山は健脚者しか出来ませんね。

「チケット販売所」

 チケットは自動券売機での購入となる。現金券売機が二台と、キャッシュレス専用券売機が一台あって、思ったよりもスムーズに列が消化されていった。なお、チケットの価格は、往復2,740円(手荷物有り:当時)である。

南アルプス林道バス(伊那市):http://www.inacity.jp/kankojoho/sangaku_alps/minamialps/minamialps_jikokuhyo.html

「南アルプス林道バス」

 チケットを購入したら、ザックの場所に戻ってバス待ちの列に並ぶ。バス乗り場の前にあるベンチには番号が書かれているが、22から先の数人は補助席(一人は助手席)になる可能性が高いようだ。嫌な人は、予め外しておいた方が良いと思う。

*バスは臨時便が何本も出ます。補助席は辛いですね……

「北沢峠」

 北沢峠まで50分程度バスに乗る。道は悪くないけど、峠道のため、それなりに揺すられた。思えば、寝不足とコレが体調不良の原因だったのかもしれない。


「長衛小屋」

 北沢峠から10分ほど歩き、長衛小屋でテントの受付をする。小屋の外に置いてある、テント場利用申込書に必要事項を記入。受付に渡して料金1,000円(当時)を支払う。


「テント場利用申込書」

 テント場は北沢沿いにあり、二段になっている。平日であったが、結構な数のテントが張ってあった。私も適当な場所を選んでテントを設営する。

*沢の音が大きめのテント場です。話し声やイビキは気にならないかも。お風呂はありませんが、長衛小屋でシャワー(予約制:5分500円)が利用できるようです。

「長衛小屋テント場」

 テント場の地面は小石が多く、綺麗に整地するか、しっかりとしたマットを使わないと痛いと思う。ペグは効くけど、場所によっては刺さらないかも。大きめの石があるので、刺さらなかったら石で固定すれば良いと思う。

*トイレは少しニオイがありますが、一般的なレベルでした。水は無料で、なかなか美味しいです。トイレの水道だけ、石鹸や歯磨き粉も使えました。

「仙水峠経由で登ります」

 テントを張った後は、予定通りに甲斐駒ヶ岳を目指そうとしたのだが、何だか調子が悪い感じ……。テントの中で少し横になったら、どうでも良くなってしまった。しかし、流石にソレは無いだろうと思い立ち、午前7時50分に気持ちを奮い立たせて歩き始める。


「北沢」

 仙水小屋までは、北沢に沿って登る。岩魚が居ないか見ながら歩いていたんだけど、一匹も見当たらなかった。早川漁協のマップだと、北沢もキャッチ&リリース区間になっているはずなのだが……。

*野呂川水系での釣りは遊漁券が必要です。また、キャッチ&リリース区間の魚はキープ出来ません。

「ロープのかかった岩場」

 川沿いの道をテクテクと歩いて行くと、ロープのかかった岩場があった。ここは特に難しくはない。スルッと登って、少し歩けば仙水小屋に着く。


「仙水小屋」

 仙水小屋の前には水が引いてあり、コレが凄く美味しい。南アルプスの天然水は流石だと思う。少し休んだ後は、テント場の前を通って先に進んだ。


「このルートは石や岩が凄く多い」

 樹林帯の登山道を登って行くと、やがて大きな石が積み重なったガレ場に出る。傾斜はほとんど無いんだけど、少し歩き難くい。


「ガレ場から摩利支天を望む」

 このガレ場を抜けると仙水峠に着く。テント場から、ゆっくりと歩いて1時間程。体調が悪いからか、この時点でシンドイ。補給を取り、十分に休んでから先に進む。


「仙水峠」

 仙水峠から上は落差のある急坂になっていて、体力の消耗が激しい。寝不足・体調不良・体力不足の三点確保をしていた、この時の私には辛すぎた。


「落差のある急登が続く」

 コースタイムは無視して、兎に角、ゆっくりと休みながら登って行くと、やがて森林限界を超えて視界が良くなってきた。


「左側のピークが駒津峰」

 少しずつ、ゆっくりと体を引き上げて、どうにか駒津峰(こまつみね)に到着。テント場から、およそ3時間20分……もう瀕死の状態であった。


「駒津峰」

 駒津峰で休憩を取りつつ、撤退について考える。しかし……滅多に来られない場所のため、無理を押して先に進む決断をした。遭難者予備軍の発想だとは思うけれど、やはり撤退の判断は難しいと思う。


「甲斐駒ヶ岳」

 駒津峰から一旦、登山道を下る。途中に鎖場があるものの、特に問題になるようなレベルではない。しかし、普通はどんなに疲れていても下りは歩けるものだが、この時は下りも無理だった。ちょっと歩いただけで、心拍数が上がり過ぎて頭に響くのだ。少しずつ、無理をしないように進む。


「下ってから撮影」

 岩が折り重なった尾根を進んで行くと、六方石と呼ばれる巨大な岩に着く。ここまで、それほど危険な箇所は無いが、濡れている場合には滑りやすいかもしれないので注意は必要だと思う。この岩の近くに座って休める場所があったため、補給をしながら休憩した。


「六方石」

 六方石を過ぎると、直登ルートと巻き道ルートの分岐がある。体力が残っていれば直登しようと思っていたのだけれど、とても無理だったので巻き道に進む。しかし、体調は悪くなる一方で、まともに歩けなかった。


「直登ルート分岐」

 滑りやすい砂礫の道をトボトボと歩いて行く。他の皆さんは摩利支天にも行くようだが、私には完全に無理だったので、ガスで見えなかったことにした。


「滑りやすい砂礫の道が続く」

 周辺は道が錯綜しているため、ガスっている場合にはルートがわからなくなるかもしれない。赤い目印が立っているので、それを目安にすると良いと思う。


「摩利支天方面」

 ひたすら登り、何とか黒戸尾根との分岐まで辿り着いた。ここから山頂までは5分だそうだけど、その5分が遠い。本当に駄目な時には、無理をしてはいけないと悟った。


「甲斐駒ヶ岳山頂」

 長衛小屋から5時間半……どうにか山頂に辿り着いた時には、ガスが上がって展望が無くなっていた。三角点に触ってから、岩に横たわって休む。そのまま眠ってしまいたかったけど、翌日には冷たくなっていそうな気がしたため、頑張って元来た道を戻る。


「仙水小屋の水場」

 帰り道、仙水小屋の水場で水を飲んだんだけど、果てしなく美味しかった。ありがたくペットボトルに頂き、長衛小屋まで戻ってテントに潜り込む。9.3km・10時間20分の辛い散策だった。

夏の仙丈ヶ岳に登ってみた♪ 2日目

 翌日、午前5時頃に目が覚めたのだが、前日の疲れが少し残っていた。そのまま寝ていたかったけど、流石に勿体ない。手早く準備をすすめ、5時50分から歩き始める。


「二合目コース登山口」

 今回は二合目コース入口から登り始め、小仙丈ヶ岳を経由するルートを行く。このコースは、五合目までは完全に整備された歩きやすい道が続く。


「急登もあります」

 もちろん、多少の急登はあるものの、ステップを小さく刻めるため、少しくらいの疲労状態なら楽に歩けてしまう感じだ。そんな道をゆっくりと登り続けて、長衛小屋から2時間ほどで五合目の馬の背分岐に到着。


「馬の背分岐」

 ここで少し休憩を取り、小仙丈ヶ岳へ向けて歩き出す。六合目までは多少、岩が多かったり、手摺り代わりに鎖が張ってある岩があったものの、引き続き通行の支障となるような場所はなかった。


「岩が多めの道が続く」

 六合目が近づくと、周囲の木々が低くなって森林限界を超える。展望が大きく開け、前日に登った甲斐駒ヶ岳や富士山も望めた。


「六合目から小仙丈ヶ岳方面」

 六合目から先も歩きやすい道が続く。のんびりと高度を上げて行くと、仙丈ヶ岳・仙丈小屋方面との分岐に辿り着いた。小仙丈ヶ岳のピークを無視する場合には、仙丈ヶ岳・仙丈小屋方面に進めば良い。


「仙丈ヶ岳・仙丈小屋方面との分岐」

 分岐から5分登ると、小仙丈ヶ岳山頂に到着。テント場から、ゆっくりと歩いて3時間20分だった。少し疲れたので、ザックを下ろして休憩を取りながら、最高の展望を楽しむ。


「小仙丈ヶ岳から仙丈ヶ岳を望む」

 富士山、北岳、間ノ岳の、日本1・2・3の高峰を眺めながら、白峰三山にも登りたいんだよな~と思いつつ、休憩を終えて歩き出した。


「富士山・北岳・間ノ岳」

 小仙丈ヶ岳から先に進むと、簡単な鎖場と岩場の下りがある。岩場の危険性は低いものの、疲れていたので慎重に通過。


「手摺り代わりレベルです」

 道中に、もう一カ所、鎖場があったような気がするが、記憶に残らないレベルなので問題無かったんだと思う。また、当日は全く気がつかなかったけど、仙丈ヶ岳へ向かう途中に雷鳥がいたらしい(動画に雷鳥が映っていた)。


「仙丈ヶ岳山頂(中央)を望む」

 テクテクと歩いて行くと、やがて仙丈ヶ岳の山頂が見えてくる。手前にあるトラバース道から落ちると危ないかもしれないけれど、特に問題のある場所は無く、間もなく山頂に辿り着いた。テント場から、ゆっくりと歩いて5時間弱だった。

「仙丈ヶ岳山頂」

 仙丈ヶ岳山頂からの眺めは最高だと思う。しかし、小仙丈ヶ岳経由だと、六合目から、ずっと展望が良いので感動は薄い。ただし、最高なのは確かなので、仙丈小屋方面から登れば、きっと感動できると思う。


「大仙丈ヶ岳方面」

 山頂でスマホを見たら、何故かGPSが動いていなかった。充電したら正常に動いたので、バッテリーの残量が少なくて落ちたのかもしれない。行動食を取りながら休憩した後は、予定通り、馬の背ヒュッテ経由で五合目まで下る。

*馬の背ヒュッテを経由するコースは、10月中旬から雪解けまで冬季閉鎖されるようです。

「甲斐駒ヶ岳と仙丈小屋」

 山頂直下にある仙丈小屋でコーラと山バッチを購入。少し休んでから、馬の背ヒュッテに向けて下った。こちらのルートも歩きやすいけど、途中まで植生保護用の防鹿柵で囲まれているため、雰囲気はあまり良くない。


「防鹿柵」

 のんびりと下って行くと、やがて馬の背ヒュッテが見えてきた。次にある藪沢小屋のトイレは、携帯トイレ専用のため、普通のトイレに立ち寄りたいなら、ここが最終となる。


「馬の背ヒュッテ」

 馬の背ヒュッテを通過して、少し下ると水場に指定されている沢がある。水はとても綺麗で、飲んだ人は美味しいと言っていた。飲んでも平気だと思うけど、携帯浄水器を使う癖を付けておいた方が良いと思う。


「水は綺麗です」

 ここでルートが分かれるが、私は予定通りに五合目(大滝の頭)方面に進んだ。こちらも歩きやすいものの、樹林帯の斜面をトラバースするような道で、手摺り代わりに鎖が掛かっている場所もあった。


「手摺り代わり程度です」

 五合目に合流後もひたすら下り、午後2時前に長衛小屋に到着。テントを撤収して、3時のバスに乗るべく、バス乗り場に向かったのだった。9.5km・7時間57分の素晴らしい散策だった。

動画「5分で甲斐駒ヶ岳&仙丈ヶ岳」

・暇な人はどうぞ……

関連サイト

仙流荘:https://www.ina-city-kankou.co.jp/senryuso/
長衛小屋:https://choei.ashiyasu.com/about/
仙丈小屋:https://www.ina-city-kankou.co.jp/yamagoya/senjo/
馬の背ヒュッテ:https://umanose.com/

南アルプス林道バス(伊那市):http://www.inacity.jp/kankojoho/sangaku_alps/minamialps/minamialps_jikokuhyo.html
南アルプスジオライナー(伊那市):http://www.inacity.jp/kankojoho/sangaku_alps/minamialps/jrbusdeiku/jrbus.html

まとめ

 南アルプス初心者向けの人気コース2座に登ってみました。ここはバス待ちの行列が嫌で敬遠していましたが、やはり良いところだと思います。

 初日の甲斐駒ヶ岳は、深夜の長距離運転、バスのチケット販売待ち、峠道のバス乗車等で体調不良になってしまい、ヘロヘロになりました。頑強な人以外は辛いと思うので、私の様に貧弱な方は、北沢峠で前泊した方が良いのかなと思います。

 仙丈ヶ岳は整備が行き届いていて、比較的安全(怪我をするリスクはあります)で快適に歩けますね。山小屋や水場もありますし、多少疲れていても何とかなるので、脚力が十分にあるなら、初日はこっちの方が良いかもしれません。

もう行った(行ってみたい)……と言う人は↓

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