3月の唐松岳「ロープウェイとリフトを使って、積雪期の北アルプス入門コースを日帰りで散策♪」

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唐松岳とは?

 唐松岳(からまつだけ)は、長野県北安曇郡白馬村と富山県黒部市に跨がっている、標高2695.9mの山。日本三百名山、信州百名山の一つ。八方尾根から登る唐松岳は、北アルプスの入門ルートとして知られ、夏も冬も人の多い大人気コースです。

 難易度的には、雪山登山中級者向けとなります。雪崩・滑落・凍傷・低体温症のリスクがありますのでご注意下さい。積雪期に登山をする場合には、滑り止め等の一般的な雪山登山の装備が必要です。

*悪天候での雪山登山は大変危険です。 行列が出来ることもある大人気コースですが、天気予報を確認の上、慎重にお楽しみ下さい。雪山散策に適したシーズンは、12月下旬~4月上旬頃だと思います。

・アイゼン(クランポン)12本爪
・ピッケル(アックス)必要
・ハードシェル必要
・冬山用登山靴厳冬期は必要
・ワカン(スノーシュー)降雪直後は必要
無雪期はこちら……↑

駐車場・アクセス

駐車場:白馬八方尾根スキー場周辺に、有料・無料の駐車場が多数あります。詳しくは、白馬八方尾根スキー場の駐車場案内をご覧下さい。私は無料の八方第3駐車場を利用しました(ゴンドラ乗り場まで、800m・徒歩10分程度)。

アクセス:マイカーでのアクセスは、Googleマップ大先生に聞いて下さい。公共交通機関をご利用の場合には、白馬駅から路線バスの他、直通バス、シャトルバスもあります。詳しくは、白馬八方尾根スキー場のサイトをご覧下さい。

白馬八方尾根スキー場:https://www.happo-one.jp/
アルピコ交通:https://www.alpico.co.jp/traffic/

今回のコース

八方池山荘 標高1,840m(山小屋、トイレ)
↓ 60分 ↑ 45分
第3ケルン 標高2,076m
↓100分 ↑ 70分
丸山 標高2,430m
↓ 65分 ↑ 50分
唐松岳 標高2,695.9m

参考コースタイム(積雪期): 6時間30分  距離:9.4km
(ロガー測定値:5時間9分・9.4km)
*気象条件や雪の状態によって、時間や難易度が大きく変わりますのでご注意下さい。

撮影:2023年3月中旬

八方池山荘から早春の唐松岳へ

 2023年3月中旬、積雪期の唐松岳に登るため、白馬八方尾根スキー場の駐車場を目指して車を走らせた。このエリアは通常、今の時期であれば道路の脇に大量の雪を見ることが出来るのだが、ほとんど消えて無くなっていた。2023年3月の暖かさが窺い知れる。


「八方尾根と白馬三山」

 白馬八方尾根スキー場の周辺には沢山の駐車場がある。今回は無料の八方第3駐車場を利用した。ゴンドラ乗り場に近い駐車場は1日1,000円だけど、土日祝日は早朝から満車のことが多いようだ。


「八方 第3駐車場」

 雪山散策用の装備を整え、日焼け止めを念入りに塗ってから、午前7時頃にロープウェイ乗り場に向けて歩き出す。案内板があるので道に迷うことはないものの、念のため「Google Map」大先生に案内をお願いした。


「チケット売り場」

 しかし、チケット売り場が道から見え難くて少し迷ってしまった。チケット売り場前には、すでに何人か並んでいたので私も列に並ぶ。チケットの販売開始は午前7時45分となっていたが、7時半には販売が開始された。

 なお、チケットの購入には登山届の提出が義務化されている。チケット売り場の左側に登山届が置かれていたので記入して列に並んだ。電子申請をしている場合には、チケット購入時に申請画面を見せれば良いらしい。

*置かれていたのは長野県の汎用的な登山計画書(長野県のサイト)でした。事前に印刷して記入しておくと良いと思います。

「チケット売り場左側に登山届」

 受付で登山届を提出して、往復のゴンドラ・リフト料金3,800円(2024シーズンから4,100円)を支払う。チケットは行き帰りのゴンドラ・リフト全てで使うため、無くさないように注意したい。


「ゴンドラ乗車口」

 今回は平日だったので置いておく必要はなかったけど、ゴンドラ乗車口前に荷物を置いて順番を確保するローカルルールがあるようだ(禁止と書いてあるけど)。もしも、荷物の列が出来ていたら、無くなっても構わない物を置いておこう。


「アルペンクワッドリフト乗り場」

 定刻通り、午前8時にゴンドラの搭乗が開始される。やや古いゴンドラのため、若干の不安はあったが、問題無く上へ運んでくれた。ゴンドラ駅を出て、ゲレンデを歩いてアルペンクワッドのリフト乗り場へと向かう。ほぼ正面にあるのでわかりやすい。


「アルペンクワッドリフトから撮影」

 当然のことだが、リフトにはザックを下ろして乗る。秋に来た時にも思ったけど、わざわざ歩いて山に登る必要が無い位に展望が良い。八方池山荘周辺の観光や、スキー・スノーボードだけでも、十分に楽しめると思う。


「グラートクワッドリフト乗り場」

 アルペンクワッドリフトを下りたら、グラートクワッドリフトの乗り場へと向かう。上に登るリフトは一本だけなので迷わない。各リフトは、開始時間まで少しだけ待たされたものの、定刻よりも早めに乗せてくれた。

*風が強いとリフトが運行停止することがあります。

「八方池山荘」

 八方池山荘には、8時40分頃に到着。ここで散策の準備を整える。初期装備は12本爪アイゼンとストックを選択した。この時期だと、雪上歩行経験が豊富な上級者は軽アイゼンでも行けるらしいけど、12本爪の本格的なアイゼンの方が安心で確実だ。

 ピッケルに関しては、かなり長いものじゃないと持って歩くだけになるため、使っていない人が大半だった。しかし、丸山付近から先は滑落すると危険な場所が連続するため、雪質や気性条件によってはストックだとリスクが高い。結果的に使わなかったとしても、ピッケルは携帯するべきだと思う。

*冬季は外トイレが埋まっているため、八方池山荘のトイレを利用します。

「石神井ケルン」

 準備が完了したため、8時50分にロガーをセットして歩き始める。雪は適度に締っていて歩きやすく、朝の段階では雪質も悪くなかった。風もそこまで強くなく(MAX10m程)、気温が高めだったので涼しくてありがたい位だった。


「白馬鑓ヶ岳を望む」

 テクテクと登って行くと、息(ヤスム)ケルン手前のトイレが見えてくる。なお、冬季は閉鎖されるため、このトイレは利用できない。また、ヤスムケルンは冬季ルートから少し外れるようで、わざわざ見に行く必要があった。


「トイレ(冬季閉鎖)」

 トイレから少し歩くと八方ケルンに到着する。ここまで、八方池山荘から40分だった。この日の睡眠時間は2時間だったので少し辛いが、頑張って先に進んだ。何処でも、何時でも眠れるスキルが欲しい。


「八方ケルン」

 広大な八方尾根を進んで行くと八方池が見えてくる。この時期は雪原になっているため、特に見所はない。しかし、正面には白馬連邦が壁のように聳え、私を圧倒してくる。北アルプスの入門者ルートとして大人気なのも頷ける……そんな絶景が続いていた。


「八方池」

 第3ケルンを越えて進んで行くと、下ノ樺と呼ばれる辺りから、尾根通しの冬道となる。夏道は雪崩や滑落のリスクが高過ぎて通れないのだ。


「第3ケルン」

 第3ケルンから見える丸い山が丸山だと思っていたんだけど、ソレはピークの一つだった。思っていたよりも急登の連続で、段々と足が重くなってくる。


「急登が続きます」

 ひたすら登って行くと、やがて丸山ケルンが見えてくる。八方池山荘から、ゆっくりと歩いて2時間ほど。秋はココで休憩をされている方が多かったけど、今回はほとんど居なかった。


「丸山ケルン」

 丸山ケルンから先は、滑落の危険性がある痩せた尾根が続く。ピッケルの方が良いとされているのだけど……誰も使っていないため、そのままストックで行く。


「条件によっては危険かも」

 今回は雪が少なく、気象条件も良かったので問題は無かったものの、幅が40~50cm位しかない場所もあり、強風時や雪質によっては滑落するリスクがある。自分の力量を見極めて、危ないと思ったら撤退した方が良いだろう。滑落すれば、運良く無傷だったとしても、レスキュー案件になるかもしれない。


「山荘直下のトラバース」

 このコースで一番危険と言われているのは、唐松岳頂上山荘直下のトラバースだ。雪質や積雪量によって難易度が変動するらしく、場合によっては直登気味にトレースができることもあるようだ。今回は緩いスロープ状のしっかりとしたトレースだったのでストックでも問題無かったけど、ココはピッケルの使用をオススメしたい。


「唐松岳頂上山荘から剱岳」

 短い危険箇所を登り切ると唐松岳頂上山荘に着く。八方池山荘から、ゆっくりと、あまり休まずに歩いて、2時間50分掛かった。計画よりも余裕があったため、ここで剱岳を眺めながら、お昼ご飯を食べた。


「唐松岳」

 下りのリフト(最終が午後3時20分)に間に合うのは確実だったので、休憩後は予定通り山頂を目指す。この日は暖かかったため、ドライレイヤー+ベースレイヤー+ミレーのアクティブインシュレーションで登っていたのだが、念のためハードシェルを装備しておいた。


「唐松岳山頂」

 例年だと4月上旬並みらしい積雪量のお陰もあったかもしれないけど、特に危険を感じることも無く、20分程で山頂に到着。危険な登山はしない主義の私が登れる雪山としては、最高クラスの展望が広がっていた。

*山頂付近で滑落死亡事故が起きたことがあるらしいので、雪質が悪い場合には十分にご注意下さい。ピッケルの使用が基本だと思います

「五竜岳方面」

 絶景を堪能した後は、元来た道を忠実に戻る。唐松岳頂上山荘からの下山は、念のためピッケルとストックの二刀流で下った。やはり、急斜面のトラバースでは、ピッケルの安定感は絶大だと思う。


「山荘直下のトラバース」

 雪質が良かったため、その後も順調に下れ、八方池山荘には午後2時に到着。全行程9.4km・5時間9分の最高に丁度良い雪山散策だった。

動画「5分で積雪期の唐松岳」

・暇な人はどうぞ……

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関連サイト

白馬八方尾根スキー場:https://www.happo-one.jp/
アルピコ交通:https://www.alpico.co.jp/traffic/
八方池山荘:https://yamagoya.hakubakousha.com/
唐松岳頂上山荘:http://karamatsu.jp/

まとめ

 ギリギリ冬かな~と言うタイミングで、北アルプスの唐松岳に行って来ました。本当は2月下旬に行きたかったのですが、タイミングが合わなくて3月中旬になってしまったのが残念です。でも、本当に素晴らしい雪山散策でしたよ。

 条件が良かったのもあって、心配していたリフトの制限時間(午前9時~午後3時20分)は思ったよりも余裕がありました。秋に行った時に、7時間以上掛かったのが嘘のようです。トレーニングの甲斐があったと思いたいですね。

 天気が心配ではありますが、体力に余裕が無い場合には八方池山荘に宿泊して、1泊2日で計画した方がゆっくりと楽しめて良いと思います。日帰りはリフトの時間が気になって、精神的に楽しめない気がしました。

 北アルプスの人気コースですので、高気圧に覆われた確実な晴天・微風(風速10m程度まで)・まともなトレースがある時を選べば、ガチな初心者じゃなければ大丈夫だと思います。中級者向けと言うのは、強風やホワイトアウト等の気性条件によるものが大きいですね。ただし、滑落のリスクはそれなりに高いため、確実な歩行技術は求められます。

 厳冬期は気象条件が厳しいため、2月下旬~3月下旬の好天を狙って行くと日帰りの成功率は高くなると思います。しかし、寒暖差が大きくなるこの時期は、雪質が悪くなって危険なこともあるため、悪条件の場合には無理をしないようにして下さい。

*積雪期は、軽アイゼンやチェーンスパイクでの登頂は控えましょう。条件が良ければ登れると思いますが、下りられなくなったり、周りに迷惑を掛ける可能性があります。

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