大雪渓から白馬岳「白馬頂上宿舎でテント泊。翌日は白馬三山を縦走♪ 」

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白馬岳とは?

 白馬岳(しろうまだけ)は長野県白馬村と富山県朝日町に跨がる、標高(2,932m)の山。日本百名山・信州百名山の一つ。日本三大雪渓の一つである白馬大雪渓の行列は、夏山シーズンの風物詩になっているそうです。

*雪不足のため、2023年8月27日の午後3時から大雪渓ルートが通行止めになるようです。年によっては閉鎖されることもありますが、8月に閉鎖珍しいみたいですね。詳しくは白馬村のサイトをご覧下さい。

関連サイト(白馬村):https://www.vill.hakuba.nagano.jp/news/2698/

駐車場・アクセス

駐車場:猿倉登山口の駐車場を利用。なお、猿倉登山口にアクセスする県道322号白馬岳線は、11月下旬~4月下旬まで冬季閉鎖になります。

アクセス:マイカーでのアクセスは、Googleマップ大先生に聞いて下さい。公共交通機関をご利用の場合には、白馬駅からアルピコ交通のバス(白馬猿倉線)に乗ります(夏山期間以外は土日祝日のみ)。

白馬岳だより( https://www.hakuba-sanso.co.jp/
アルピコ交通:https://www.alpico.co.jp/traffic/

今回のコース

1日目

猿倉荘 標高1,250m(トイレ・登山届)
↓ 60分
白馬尻小屋 標高1,543m(山小屋・テント場)
↓150分
岩室跡 標高2,325m
↓120分
白馬頂上宿舎 標高2,757m(山小屋・テント場)
↓ 20分
白馬山荘 標高2,836m(山小屋・宿泊)
↓ 15分
白馬岳山頂 標高2,932m

一日目の標準コースタイム: 6時間5分  距離:6.4km
(ロガー測定値:山頂区間未計測)

2日目

白馬頂上宿舎 標高2,757m(山小屋・テント場)
↓ 60分
杓子岳 標高2,812m
↓ 86分
白馬鑓ヶ岳 標高2,903.2m
↓ 20分
白馬鑓温泉分岐 標高2,748m
↓150分
白馬鑓温泉小屋 標高2,006m(山小屋・テント場・温泉!)
↓ 110分
小日向のコル 標高1,827m
↓ 110分
猿倉荘 標高1,250m(トイレ・登山届)

2日目の標準コースタイム :8時間56分  距離:11.3km
(ロガー測定値:8時間44分・12.8km)

撮影日時:2017年9月4~5日

大雪渓から9月の白馬岳……1日目

「大雪渓を登ります」

 2017年9月3日の深夜、白馬岳登山口の一つ、猿倉へと続いている、長野県道322号線(白馬岳線)を行く。有名登山口の一つであるため、やや細い区間はあるものの、全面舗装で車の運転に不安は無い。

 猿倉の駐車場には、午後11時45分頃に到着。50台駐車可能らしい駐車場は5割ほど埋まっていた。川に近い場所に車を止め、朝まで仮眠をする。

 しかし、川の音が五月蠅いからか、涼しくて快適な環境のわりに、あまり眠れなかった。まあ、いつもは、ほぼ無睡眠なのだ。少し眠れただけでも良いだろう。準備を整え、2017年9月4日の午前5時17分に駐車場を出発した。


「猿倉荘」

 猿倉荘(標高1,250m)で登山届を提出。トイレ(水洗で綺麗です)を済ませてから、5時32分に白馬大雪渓に向けて歩き始めた。

 今回は猿倉登山口から大雪渓を登って白馬岳へ。白馬頂上宿舎にてテント泊をしたのち、9月5日に杓子岳・白馬鑓ヶ岳を縦走、白馬鑓温泉を経由して猿倉に戻る、全行程18.4㎞・コースタイム15時間26分のコースを行く予定だ。 


「白馬鑓温泉方面との分岐」

 猿倉から少し登山道を歩くと、白馬尻小屋までは車が通れる林道歩きになる。夜は星が綺麗に見えていたので期待していたのだが、残念ながら少し雲が多いようだ。

 途中、白馬鑓温泉方面との分岐を通過。翌日は、ここに戻ってくることになる。分岐を過ぎ、単調な林道を40分ほど歩くと、白馬尻小屋に到着する。


「よく出てくる石と白馬尻小屋」

 ここでは、白馬の山行記事などでよく見かける「おっかれさん!ようこそ大雪渓へ」と書かれた大岩が出迎えてくれた。一旦、ザックを下ろし、少しだけ休憩。トイレにも寄っておいた。簡易水洗ではあるものの、まあまあ綺麗で、安心して使えるだろう。

 小休止後は、大雪渓に向けて歩き始める。すでに9月と言うこともあり、雪渓には至る所に割れ目(クレバス)が大きな口を開けていた。


「割れ目が広がっていました」

 クレバスを避けるように、雪渓上に引かれた赤いマーキングを辿る。時期的に雪渓を直登できないらしく、巻き道と短い区間の雪渓を交互に歩いた。

 雪渓をノーアイゼンで登っている人も居たけど、本格的な雪渓歩きになる場所では、ほとんどの人がアイゼンを装着していた。私はチェーンスパイクを装着。夏の白馬大雪渓なら、これで問題は無いだろう。

*早期は12本爪アイゼンとピッケルの世界になりますのでご注意下さい。また、条件によっては、夏でも6本爪の軽アイゼンの方が良い場合もあるそうです。

「アイゼンを装着した方が歩き易い」

 ザクザクとチェーンスパイクの爪を効かせながら、快適な雪渓歩きを楽しむ。雪面には、所々に以前、落ちたと思われる大きな落石が転がっていた。

 この日は杓子岳方面で小規模な落石の音がする位で、大きい石は落ちてこなかったけど、音も無く巨大な落石が転がって来ることがあるらしい。上には、いつも注意を払っておく必要があるだろう。


「秋はこの辺までらしいです」

 2時間ほどで大雪渓が終了したので、ここでチェーンスパイクを外す。時期が遅いため、ここからは小雪渓を通らない秋道ルートとなるようだ。

 撮影を忘れたが、葱平(ねぶかっぴら)と呼ばれる場所を過ぎるまでは、不安定で落石が多いため休憩するなと書いてあった気がする。


「 岩室跡」

 秋道ルートは、岩場の急登を行くコースだ。快適な大雪渓の登りと比べると、岩の段差が大きく、これが結構疲れる。

 今回は防寒着を多く持って来ているため、ザックが重い。さらに、この日は涼しくて、一番の重量物である飲料水をほとんど消耗しなかったことが辛かった……。


「緊急避難小屋はとても狭い」

 頑張って登って行くと、やがて緊急避難小屋に着く。ここでザックを下ろして小休憩を取る。なお、猿倉から、ここまで4時間20分ほど掛かった。

 折角なので、避難小屋の中を覗いてみた。そこは思っていたより狭く、数人が座って休める程度の広さしかない。どうやら、本当の緊急用みたいだ。


「天狗菱と言う尖り」

 左手に天狗菱とか言うトンガリを眺めながらテクテクと歩いて行くと、ようやくテント泊予定地の白馬頂上宿舎が見えてきた。でも、まだまだ遠い。

 すでに見頃は過ぎている感があるものの、登山道の周辺には、咲いている夏の花も多かった。時々立ち止まって楽しみつつ、最後の登りを頑張る。


「白馬岳頂上宿舎」

 白馬頂上宿舎には、午前11時過ぎに到着。猿倉からここまで、およそ5時間半掛かった(ほぼコースタイム通り)。

 かなりバテていたけど、早くテントを設置して休みたかったので受付へ。食堂&売店でテント場の受付と料金(1,000円*/当時)の支払いを済ませ早速、テント場へ……しかし、テント場の位置を聞かなかったため、場所がよくわからない(汗)。

*現在(2023年)、キャンプ場使用料は1人2,000円+1張り1,000円です(要予約)。予約しないと+2,000円だとか……ぼったくりでは。
関連サイト:白馬村村営山小屋(https://yamagoya.hakubakousha.com/


「テント場への道」

 ここのテント場は建物の陰にあり、周囲を丘で囲われているため、大雪渓側から来ると場所が分かり辛い。しかも、受付への案内はキチンとあるのに、テント場への案内はほとんど無い。

 しばし彷徨った後、通りがかりの人にテント場の場所を聞いて無事到着。時間が早かったためか、テントは、ほとんど張られていなかった。


「貼ってあったテント場の案内図」

 地形的には影響が無さそうにも思えるが、ここは風が強いことで知られている。出来るだけ風が弱そうな場所にテントを設置して、中に入って少し休んだ。なお、地面は石混じりで、ペグはほとんど刺さらないため、回りに転がっている石で張り綱を固定する必要があった。

 なお、ここのテント場のトイレはボットンタイプである。ただし、気温が低いためか、日中でもほとんど臭わなかった。トイレットペーパー完備で、夜間に電気が付くのも利用しやすくて良いと思う。


「上から見たテント場」

 この日は高曇りで日が弱く、五月蠅いハナアブも、すでにほとんど居なかった。快適に休憩が取れ、だいぶ回復したので、白馬岳頂上を目指すことにする。

 山頂までは、危険個所の無い、単調な登りの散策道を行く。晴天とはいかなかったが、雲が高く、少し登った辺りからは、剱岳や立山が綺麗に見えた。


「日本最大級の山荘」

 頂上宿舎から20分ほどで白馬山荘に到着。日本最大級とのことで、流石に大きい。手ぶらで来たので、売店でコーラ(500円/当時)と山バッチを購入して山頂へ。

 展望を楽しみながら15分ほど歩くと山頂に到着した。遮る物が無い、360度の大展望は最高だった。人気があるのも頷ける。


「長野県側は断崖絶壁」

 山頂の長野県側は絶壁で、覗き込むとなかなか怖い(笑)。流石、人気の山だけあって、山頂にはひっきりなしに人が来ていた。夏山シーズン中に人を写さない様に道標を撮影するのは、かなり難易度が高いと思う。平日でコレなので、連休等は休憩を取るのも難しいだろう。

 山頂から10分程で白馬山荘まで戻ってきた。折角なので、レストラン スカイプラザ白馬によって何か食べて行くことにする。

関連サイト:白馬岳だより(https://www.hakuba-sanso.co.jp/

「ケーキセットを注文」

 受付でケーキセット800円(当時)を注文。しばらくの間、まったりとした時間を過ごした。値段もメニューも街とそんなに変わらないし、とても3,000m近い山の上とは思えない。まあ、たまにはこう言うのも良いと思う。

 テント場まで戻って来たら青空が広がった(涙)。まあ、もう行く気にはならないので、給水用の黄色いタンクから飲料水を汲んで、以降はテントの中で横たわって過ごすことにしたのだった。

*黄色いタンクは飲料水で、そのまま飲むことが出来ます。

大雪渓から9月の白馬岳……2日目

 2017年9月5日、午前3時に目が覚める。ハイドレーションに給水をするために外へ出ると、星が綺麗に見えていた。今日は良い散策日和になりそうだ。

 今回は周囲の方達も早くからテントの撤退作業を開始していた。私も遠慮することなく食事をしたり、テントの撤退作業を始める。隣接したテントがあると、早朝の撤収作業には気を遣うのだ。


「白馬岳とご来光」

 風がそこそこあったためか、フライシートの結露が無く、テントの撤収作業は順調に進んだ。午前5時頃には準備が完成したため、白馬岳頂上宿舎のテント場を出発。斜面を登って稜線上へ出た。

 丁度、日の出のタイミングだったため、テント場から近い丸山(標高2,768m)でご来光を見ようとしたんだけど、風が強いのと、東側の展望がイマイチなので杓子岳方面に少し歩く。


「立山連峰と剱岳」

 鞍部に向けて少し歩いた辺りに、風を避けられる場所があった。ここで少し待機して、日が昇るのを待つ。ご来光は泊まらないとなかなか見られない。しばしの間、最高の瞬間を味わった。

 ご来光を拝んだ後は、白馬三山の一つである杓子岳に登る。崩れやすい小石が積み重なった九十九折の急登で、かなり疲れそうだと思った。しかし、折角なので巻道ルートを進みたいと思う気持ちを抑えて杓子岳の山頂へと向かう。


「これから行く杓子岳、白馬鑓ヶ岳」

 杓子岳の上部は斜度がキツくて苦労したものの、分岐から20分程度で山頂に到着。山頂には道標と北側にケルンがあった。

 この杓子岳稜線からの展望は最高で、八ヶ岳の向こうに富士山も見えた。しばらく周囲の景色を楽しみ、白馬鑓ヶ岳方面へと進む。


「長野側は断崖絶壁です」

 杓子岳も、白馬岳と同じように長野県側が切れ落ちている。かなり幅があるので普通に歩いていれば落ちることはまず無いけど……滑落したら助からないだろう。あまり近寄らないように歩いて行くようにした。

 杓子岳から白馬鑓ヶ岳へは、それ程危険な所も無く、1時間程で山頂に到着。ザックを下ろして行動食を食べ、絶景を楽しみながら休憩を取った。


「白馬鑓ヶ岳山頂」

 この日は天気が良く、山頂からは北アルプスの山々がよく見えた。眼下に見える天狗山荘には荷揚げのヘリコプターが行ったり来たりしていた。雪害の修理(修復済み)は進んだのだろうか?

 休憩後は白馬鑓温泉に向けて下山を開始。しばらく下りてから、白馬鑓ヶ岳を振り返って見ると、何だか砂利山のように見えた。どうして鑓ヶ岳と言う名前が付いたんだろうか……そう思いつつ、分岐を鑓温泉方面に向かう。

*麓から見たら、ちゃんと槍の様に尖ってました。

「盛期ならお花畑が広がってそうです」

 ひたすら下り、大出原辺りで白馬鑓ヶ岳方面を振り返る。この辺りは、盛期には高山植物のお花畑が広がりそうだ。しかし、すでに季節は秋に移行しており、チングルマの綿毛が風に揺れていた。

 その後も、ひたすら下って行くと、大出原から30分位で「この先 鎖場事故多発 ストックしまって 両手をあけて!」と書かれた注意書きが出てきた。そこから7分程下ると、危険と言われている鎖場となる。


「鎖場の岩はすご〜く滑ります」

 ここには、鎖が掛かっている場所が全部で5か所あるようだ。一見すると、どれも大したことは無いように見える。ただし、この辺りの岩は滑り易いことで定評のある蛇紋岩らしく、やたらと滑るのだ。

 しかも、小さな沢や水が染み出ている場所が多数あり、靴の裏が常に濡れている状態になる。そのため、晴れていても非常に危険。普段、鎖を使わない派の人も、鎖を使った方が安全だと思う。


「鎖場を見上げて……」

 鎖場を下り終えてから見上げてみる。高度感は全くと言ってよいほど無かったが、落ちると大変なことになる可能性がありそうだ。

 その後も片側が切れ落ちていたり、石が滑り易かったりするので気を付けて歩いて行くと、やがて白馬鑓温泉の建物が見えてきた。

 白馬鑓温泉には午前9時40分に到着。朝、白馬岳頂上宿舎のテント場を出てから4時間40分ほど掛かった。早速、受付で入浴料500円(当時)を支払って温泉へ。


「白馬鑓温泉の建物とテント場」

 硫黄臭が香る極上の温泉であるが、余り長居すると歩けなくなってしまうので10分位で出る。入浴後は、売店で500円(当時)のポンジュースと温泉バッチを購入。しばらく、パンを齧りながら大休憩を取った。

 白馬鑓温泉小屋に45分ほど滞在した後は、猿倉に向けて下山を開始。だいぶ崩落しているが、周囲には、まだかなりの量の雪が残っていた。

*屋根付きのベンチがあり、通過の登山客でも安心して休憩できます。

「雪渓とお花畑」

 雪渓と黄色い花(ミヤマキンポウゲ)を眺めつつ下り、沢に架かる橋を渡る。橋を渡るポイントは、早期には雪渓を渡る場所になっているようだ。

 特に語られることの無い、白馬鑓温泉〜猿倉間の登山道。しかし、道は歩きにくく、急斜面のトラバースなので、山に慣れていないと怖いと感じる場所もあるかもしれない。


「道幅があるので大丈夫です」

 地味に効いてくる小さなアップダウンを越えて歩いて行くと、スカンポのような山菜が荒され、周囲に大きな動物の糞が複数、落ちている場所があった。熊ではないかと思われるため、朝夕に歩く人は要注意かもしれない。

 小日向のコルに至る登り返しが疲れた体にはキツかったけど、登り切れば後は下るのみだ。頑張って下り、ようやく昨日の朝に通過した分岐まで到着。疲れた〜と思いつつ、猿倉荘に向けて歩いて行く。  


「駐車場は六割ほど埋まっていました」

 登山口の猿倉荘には午後1時37分に到着。下山届の必要は無いみたいなので、猿倉荘はスルーして駐車場の車に戻ってロガーを停止。2日目は12.8㎞/8時間44分の散策だった。

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関連サイト

白馬岳だより( https://www.hakuba-sanso.co.jp/

アルピコ交通:https://www.alpico.co.jp/traffic/

まとめ

 大雪渓は初めて登ってみましたが、雪渓は意外と固くて歩きやすかったです。ただ、もう少し早い時期に行きたかったですね。7月下旬~8月中旬位が良さそうだと思いました。

 あと、9月初旬だともう寒いですね。長袖のアンダーに、フリースジャケット、ライトダウンジャケットに、モンベルのダウンハガー800#3に包まって、やっと眠れる位でした。防寒対策はしっかりとした方が良いです。

 コースの感想としては、人気があるので整備状況は良いですね。ただ、鑓温泉上部の鎖場はかなり滑りやすく、油断すると危ないと思いました。しかし、しっかりとした鎖が張られているので、気を付ければ大丈夫だと思います。他はよくある普通の登山道ですね。