夏の大天井岳「一ノ沢登山口からテント泊で♪」

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大天井岳とは?

 大天井岳(おてんしょうだけ)は、長野県大町市・安曇野市・松本市に跨る、 標高2,922mの山。日本二百名山、信州百名山の一つ。燕岳から槍ヶ岳へと続く表銀座縦走路の途中にあり、常念山脈の最高峰として知られている。

7月の大天井岳に行ってみた♪

「大天井岳と大天荘」

 2019年7月25日、大天井岳がある常念山脈にアクセスする登山口の一つ、一ノ沢登山口を目指して車を走らせた。道は完全舗装で、道幅も十分あって問題無い範囲だ。

 今回は一ノ沢登山口から大天井岳を目指すわけだが、大天井岳のみを目指して登る人は少ないかもしれない。通常は表銀座縦走コースの起点である、中房温泉の燕岳登山口から槍ヶ岳を目指す途中、あるいは常念岳方面へ縦走する途中、または、その逆のパターンが一般的だろう。

 しかし、燕岳へと続く合戦尾根は2回登っているので、今回は初めてのコースを登ってみたかったのだ。


「一ノ沢駐車場(上側)」

 一ノ沢登山口には、一般登山者用に開放されている、大きめの駐車場が2か所ある。それぞれ25台分位のスペースであるが、今回は登山口に近い、上の方の駐車場に車を止めた。

*この駐車場にトイレはありません。車中泊には向きませんのでご注意下さい。


「一ノ沢駐車場(下側)」

 散策の準備を済ませ、午前4時45分にロガーをセット。その後、車の戸締りを何度か(笑)確認してから駐車場を出発。ここから一ノ沢登山口までは、アスファルトの道路を20分ほど歩くことになる。

 車道をテクテクと歩いて行くと、道路脇に数ヶ所、合計25台は車が置けそうなスペースがあった。指定された駐車場では無いが、駐車禁止とは特に書いておらず、ここに置いて出掛ける人も普通にいるようだ。

 下山後にこのアスファルトの道路を歩くのが結構大変なので、平日などでスペースが空いていれば、この場所に車を置いた方が良いんじゃないかと思う。


「ここは関係者専用のため駐車禁止です」

 しばらく歩いて行くと、取水堰堤がある場所に着く。 Googleマップで一ノ沢駐車場を検索すると、ここにも駐車場マークがあるが、この駐車スペースは関係者専用。例え、ロープが引いていなかったとしても駐車することは出来ない。


「一ノ沢登山口」

 駐車場から20分ほどで一ノ沢登山口に到着。ここで登山届を提出して、トイレに立ち寄っておいた。

*トイレは水洗で綺麗ですが、水は沢水のため飲用不適です。

 もう一度装備を確認して、午前5時13分より歩き始めた。このコースは、信濃川水系烏川の支流の一つ、一ノ沢に沿って登って行くことになる。


「山の神」

 登山口から5分ほど歩くと「山の神」と言う鳥居のある場所に着く。当日は忘れてしまったが、頭ぐらいは下げておくべきだと思う。

 

「このコースは何度も川を渡ります」

 このコースは川沿いにある関係で、何度も川を渡ることになる。橋が架けられているので水の中を歩くようなことは無いが、増水時には登山道に水が流れている可能性が高い。足元の汚れを防止するため、スパッツを装備しておいた方が良いだろう。

*大雨の後は通行が出来ない可能性があるので、常念小屋のホームページなどで情報収集しておくことをおススメします。


「登山道に水が流れている場所も……」

 「胸突八丁」と呼ばれる、谷を髙巻きするルートに到着するまでは、川沿いに続く、なだらかな樹林帯の登山道をひたすら登って行く。 ゆっくりと標高を上げていく感じで、体力の消耗は少ない感じだ。


「浮石に注意です」

 ただ、今回は5か月ぶりの登山だったため、なだらかな登りでも体に堪える。筋肉に負担を掛けない様、ひたすらゆっくりと登って行くしかなかった。


「川沿いをひたすら登ります」

 沢を登って行くと、やがて雪渓が現れる。7月末の時点では十分な量の雪が残っており、吹き抜ける涼風が気持ち良かった。


「7月末の時点では、まだ雪渓が残っていた」

 なお、この雪渓を登る必要はない。登山ルートは右手側に続く、胸突八丁と呼ばれる高巻ルートへと移行する。


「胸突八丁」

 やや急な斜面を登って行くと、斜面にニッコウキスゲが綺麗に咲いていた。花を見るなら、7月末位に登るのが良いのかもしれない。


「7月末はニッコウキスゲが綺麗でした」

 このルートはしっかりと整備され、道幅も十分にあるため、それほど危険ではない。しかし、間違って滑り落ちると大惨事になる可能性が高い。子供連れの場合には、くれぐれも目を離さない様にしよう。


「転落注意」

 慎重に歩いて行くと、やがて丸太橋で対岸に渡る場所に着く。ここから常念小屋までは少し急登になるため、少し登った場所にある最終水場で小休憩を取っておいた。


「丸太橋で対岸に渡る」

 急登をひたすら登ると、やがて第一ベンチに到着。あと800mと書かれているが、山の800mって意外と遠いのだ。無理をしない様にゆっくりと休みながら登った。


「第一ベンチ」

 ベンチは3か所あり、それぞれで休憩を取りつつ急登を登って行く。登山道は石と木の根が貼り出して滑りやすいところもあるが、ごく一般的なレベルだ。登り詰めると、やがて空が近くなり、視界が開けた。そこが常念乗越である。


「常念乗越」

 ここまで、一ノ沢登山口であるヒエ平から5時間弱だった。コースタイムが4時間35分なので、だいぶオーバした感じだ。

 コース的にはそれほどハードではないので、月一位で登っている人なら、コースタイムをオーバすることは無いと思う。


「懐かしき常念小屋」

 常念小屋でコーラとポカリスエット(各400円)など買って、ベンチに座って一息つく。久しぶりの登山、しかもテント泊なので疲労が大きい。もう常念小屋でテント泊しちゃおうかと思ったほどだ。


「テント場の脇を通って大天井岳方面へ」

 ただ、ここのテント場は前に泊まっている。やはり先を目指したい。30分程休憩を取った後、頑張って大天井岳を目指すことにした。


「常念岳と常念小屋」

 常念小屋を出ると、しばらくは樹林帯の中を行く登山道。危険箇所も無く、ただひたすら登るだけだ。途中、ふと後ろを振り返ると、先程休んでいた常念小屋がすでに遠くなっていた。


「稜線上にはコマクサが多かった」

 30分ほど登ると、木々が無くなり稜線に出る。そこには、コマクサが所々に咲いていた。何度も見ていると関心が無くなってくるが、花が好きな人には良いのかもしれない。


「横通岳付近」

 ここから大天井岳までは、小さなピークを何度も通過する。一つ一つは大したことが無いのだが、常念小屋からだとほぼ登りとなり、疲れていると結構、厳しいのだ。ピークが現れるたび、またかよと思わされた。


「小さなアップダウンが多い」

 挫けそうになりながら、東天井岳付近に広がるハイマツが張り出した登山道を抜けて行くと、唐突に花畑が現れた。花には詳しくないが、この季節(7月末)によく見られる、シナノキンバイ(ミヤマキンボウゲだったのかもしれない)とハクサンイチゲが中心だったのではないかと思う。




「東天井岳付近のお花畑」

 花を楽しみながら少し休憩を取った後、再び先に進む。東天井岳付近を過ぎると、やがて石積みのある場所に着く。旧二股小屋跡らしいが、風が強い時の休憩場所として良さそうだなと思った。


「旧二股小屋跡」

 ここに来る前、このコースは尾根歩きで気持ちが良いだろうと勝手に思っていた。しかし、左手側には槍ヶ岳方面が見えているものの、トラバースルートが多いため、爽快感は思ったほど高く無いのが少し残念だった。


「槍ヶ岳方面の展望は良い」

 ひたすら歩き、常念小屋を出てから、およそ3時間20分を過ぎた頃、ようやく目的の大天井岳と大天荘が見えて来た。常念岳から大天荘までのコースタイムは3時間30分だがら、着くころにはオーバーしそうだ。

 そう思いつつ、最後の力を振り絞って歩き、大天荘には午後2時を少し回った位に到着。11.5km・9時間23分57秒(コースタイムは8時間5分+駐車場から登山口までの時間20分)の散策だった。


「大天井岳と大天荘」

 コースタイムは盛大にオーバーしたが、取り敢えずテントの受付をするため大天荘へ。燕岳の燕山荘と経営が同じこともあり、テント泊の受付方法は同じだ。

 まずは受付の横に置いてある「キャンプ届」に、住所や名前、今後の行動予定などの必要事項を記入。受付でキャンプ場の利用料1,000円を支払って、オレンジ色の幕営手形を貰うシステムになっている。


「大天荘」

 今回は新しく買ったケストレル38(2019モデル)のデビュー戦だったのだが、夏山テント2泊3日までならこれで十分だと思った。着替えや防寒着が多くなると厳しいかもしれないが、今後はこのシステムでテント泊をしたいと思う。

オスプレー ケストレル38(2019年モデル)を購入♪
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「ケストレル38でテント泊」

 大天井岳のテント場は登山道を挟んで左右に分かれている。私は槍ヶ岳方面にテントを張ることにした。地面は石混じりの土で、ペグは刺さり辛いが、ペグが良く刺さる部分もあった。石に当ったら、少しずらせば刺さる感じだ。

 石とペグを半々で使ってテントを張り終わると、周囲はガスに包まれる。次第に何も見えなくなってきたので、少し早目の夕食を取った後は、ずっとテントの中で過した。


「ガスガスです」

 やがて日が沈むと風が強くなった。稜線上にあるため、風が強い時は入口の向きに注意が必要だと思う。

 テントの中で過していると、やや強めの雨も降ってきた。星空は期待出来そうもない。翌日は天気が良いといいのだけど……そう心配している内に、私の意識は遠くなって行ったのだった。

夏の大天井岳……2日目

「日の出が見れた♪」

 午前4時前、周囲の物音で目が覚める。雨だったら嫌だなと思ったが、上空に雲はほとんど無い。良い日の出が拝めそうだ。


「幕営手形」

 テントから出ると、フライシートは雨と結露でビショビショだ。早く乾くようにタオルで拭いておく。今日は下山だけなので出発は午前7時位にする予定。それまでに少しは乾くだろう。


「早朝の槍ヶ岳」

 周囲の景色を楽しんだ後は、大天荘まで水を汲みに行く。1ℓ200円で、瓶にお金を入れ、蛇口から勝手に水を汲むシステムだ。

 テントに戻り、カレーメシで簡単な朝食をとった後は、テントを撤収する前に大天井岳の山頂へ。昨日はガスっていたため、大天井岳の山頂には登らなかったのだ。


「大天井岳方面」

 大天井岳の山頂へは、大天荘からコースタイムで10分である。大きな石が積み重なっているが、特に危険な場所は無い。サクッと登って山頂に立った。


「大展望の山頂」

 大天井岳の山頂には、山頂標識と社、三等三角点がある。周りに遮るものが無いため、山頂からの眺めは抜群。周囲の名立たる山を遠望することが出来た。


「山頂から大天荘」

 山頂で眺めを楽しんでいると、何となくガスってきた……。雨が降ったら嫌なので、テント場に戻って、テントの撤収作業を開始。


「撤収準備完了」

 午前6時45分にテントの撤収を完了。すでに、ほとんどの人が大天荘を後にしていた。受付に幕営手形を返還して外に出ると、周囲は完全にガスに包まれていた……。


「ガスに包まれた大天荘のテント場」

 前日に来た道を常念小屋まで戻る。ガスで展望はほとんど無く、ただひたすら歩く。こんな時は雷鳥位しか楽しみが無いのだが、どう言う訳か雷鳥が出てこない。北アルプスでガスっていると、高確率で会えるのだが……残念だ。


「こんな時もありますね」

 まあ、ガスの中をのんびりと歩くのもたまには良い。しかし、私は前日に景色を見ているので問題無いが、山行中、ずっとガスってたら悲しくなるだろう。


「前日と同じお花畑」

 ガスで展望が無いので、ほとんど休まずに歩いていたら、二時間弱で常念小屋に到着。大天井岳方面からだと、緩い下り基調なのでかなり楽だった。

*大天荘→東天井岳間のコースタイムが、山と高原地図だと90分になっているが、実際には60分が正しいらしい。


「常念小屋」

 常念小屋で少し休憩を取った後は一気に山を下る。常念小屋から胸突八丁間は、滑りやすい木の階段や補強がある。転倒による怪我が多いらしいので、下る時は慎重に……。

*ちなみに、タクシーを頼むなら常念小屋付近から電話しておく必要があります。常念小屋から一ノ沢登山口までのコースタイムは3時間10分。


「山を下りると青空が広がっていた」

 一ノ沢登山口までの区間も、木の根や動く石、木の橋等、滑りやすいものが多い。登る時は問題無いが、下りの場合には慎重に行こう。

*帰りのタクシーを頼んでいる場合、早く下りようとして転倒……とかが多いみたい。

 

「濡れていると滑りやすいです」

 その後もひたすら下り、最後のアスファルト路面を何とか歩ききって、駐車場には午前11時50分位に到着。二日目は、11km・5時間7分16秒の散策だった。

一ノ沢登山口から大天井岳に登ってみた感想

 一ノ沢登山口から常念小屋までのルートは、学校登山などにも使われているルートなので整備状況はとても良いです。ただし、浮いている石や滑りやすい木の根、木の橋等が沢山あるので、転倒には注意が必要です。また、増水時には水浸しになりそうなので避けた方が良いかもしれません。

 常念小屋から大天井岳までは、無雪期で晴天なら危険個所はほぼ無く、迷うような所もありません(地図は必要です)。トラバースルートが多いので爽快感は思ったほどではありませんでしたが、おススメ出来るルートだと思いました。大天井岳から常念小屋方向だと、景色を見ながら散策できる、すごく楽なコースです。

今回のコース

一ノ沢登山口(ヒエ平) 標高1,329m(トイレ、登山届)
↓ 75分 ↑ 50分
王滝ベンチ 標高1,592m
↓120分 ↑ 80分
胸突八丁 標高2,003m
↓ 80分 ↑ 60分
常念小屋 2,458m(山小屋、テント場、トイレ)
↓120分 ↑ 90分
東天井岳 標高2,767m
↓ 90分 ↑ 90分 (下りのコースタイムがおかしい。実際には90分もかかからない)
大天荘 標高2,876m (山小屋、テント場、トイレ)
↓ 10分 ↑ 10分
大天井岳 標高2,922m

標準コースタイム
14時間35分 距離:18.9km

撮影日時:2019年7月25~26日

駐車場「一ノ沢登山口周辺に50台位(トイレ無し)」